チャートの基本を知れば「タイミング」がわかる!

投資を知る

暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)を売買するとき、対象の通貨が「今いくらか」という情報を知らずに売買する人はほとんどいないでしょう。

仮にある通貨を買った場合、購入時の価格を知らなければ、買ったあとに価格が上昇した際にいくら利益が出ているか、下落した際にいくら損失が出ているかがわかりません。

最終的に売却した際に、どれくらいの損益が出たかは判明しますが、そんな状態での売買は目隠しをして道路を歩くようなもので、大変危険です。

そもそもチャートって何?

そこで、現在の価格+過去の価格推移を確認して分析するために必要となるのが「チャート」です。

チャートの本来の定義は「価格の変動を罫線で表示した図表」です。「どのような図表にするか」について厳密な決まりはないので、ただの1本の線や特殊な形をしている図形の塊など、チャートにはいろいろな形状があります。

価格の推移を知るだけなら、「5月1日 1,000円、5月2日1,200円」というように、ただ数字を並べればよいのでは?と思う人もいるかもしれません。

しかし、数百年前から、投資の世界で生きてきた先人たちは、「価格の上がる商品はどれか」といった分析のほかに、価格の推移を図表化することで、「その商品の現在と未来の価格」を分析し利益を得てきました。

それだけ、チャートには「未来の価格がどうなるか」を判断するためのヒントが隠されているということなのです。

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値動きを「視覚化」するのがチャート

そうした背景をふまえて、「なぜ価格推移をわざわざ図表にするのか」という疑問に答えると、「視覚化」につきます。

例えば、2018年の初めに価格が急上昇し1,000円の高値を付けた通貨が、以下の価格推移を遂げたとします。

年初1,000円の高値をつけた後、ずるずると半年以上価格を下げ続け、夏ごろには200円まで下落。10月ごろ、その通貨にとって非常に良いニュースが発表され、徐々に300円、500円と価格上昇が始まった。

このとき、その通貨を取引している人が将来の値動きを判断する際に最も注目するのは、年初につけた1,000円という価格です。

「良いニュースもあったことだし、年始につけた高値1,000円は間違いなく超えてくるだろう」

「年初来の高値を超えれば来年は2,000円、3,000円も視野に入る」

「いや、そこまでこの通貨の本質的な価値に変化はない。1,000円がまだ天井だろうし、売りかな」

「わかりやすい節目だから、1,000円が意識されてそこまではすんなり上がるのでは?」

相場に参加している人の目線は売りと買いが交錯するので、「1,000円」という価格に対する判断はさまざまです。

しかし、「その年につけた高値(または安値)」「1,000円などのきりのよい数字」を意識するのは、どんな通貨であっても、株取引であっても為替取引であっても、取引するのが同じ人間なら共通です。

このような場合、チャート上の1,000円の価格のところに目立つ色で線を引いておきます。8月時点で買った人にとっては価格が上昇し、この線に到達した時点を一旦の利確ポイントとして設定することが可能です。また、買うタイミングを見極めたい人にとっては、勢いよく線を突破した時点で買うという判断ができます。

 

チャートからその通貨の中身の良し悪しは判断できません。しかし、「良い通貨を見つけた場合にいつ買うか」、「含み益が出ている場合にそれを最大限ふくらませて売る」といった、「売買のタイミング」を分析する点において、チャートは非常に優れているのです。

時間軸のチェックも重要

次は、チャートには具体的にどのような種類があるのかを説明します。

一般的に、取引に使われるチャートして有名なのは、江戸時代の日本発祥とされる「ローソク足」や欧米で使用されている「バーチャート」です。これらのチャートは、ある期間の価格を切り取って時系列に表示したものです。

ほかにも、上昇したときは〇、下落したときは×というように表を埋めていく「ポイント&フィギュア」や、通常のローソク足の値を調整した「平均足」という変則的なものまで、さまざまな種類があります。

ローソク足やバーチャートで共通するのは、一定の時間単位で区切って、その区間で起きた価格の変動を「1本」とカウントしている点です。

区切る時間の単位によって呼び方が変わり、1日の値動きを1本として表したチャートは「日足」、1時間の場合は「1時間足」、1週間は「週足」です。細かいものでは、1分の値動きを表した「1分足」もあります。

取引スタイルによって見る足が変わりますし、アナリストの解説では「どの時間軸を見るか」というような表現が用いられます。

一度買ったら数カ月買い持ちするような取引スタイルの人は、日足や週足を見るのがよく、1日の間で何度も取引をする人は1時間よりも短い時間軸を見るとよいでしょう。

ここで紹介した各種チャートは、基本的には取引所に口座を開設すれば無料で利用できます。そのほか、ブラウザー上で動作するチャートサービス「TradingView」に登録すれば無料で高機能チャートが使えます(利用制限あり)。TradingViewでは、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)だけでなく株や為替、国債などさまざまな金融資産のチャートを利用できるというメリットもあるので、一度試してみるのもいいでしょう。

4つの価格」があるローソク足

ここからは、いろいろなチャートのなかから、日本発祥であり、海外でも「candles」として知られ世界中に愛好者がいる「ローソク足」を中心に説明します。

ローソク足は江戸時代に出羽国酒田(現在の山形県酒田市)出身の豪商本間宗久が考案したとされており、200年以上の歴史があります。

このチャートが優れているのは、単位時間あたりの「高値」「安値」「始値」「終値」の4本の値を1本の「ローソク」と呼ばれる図形によって表しているという点です。

4本値は、それぞれ文字どおり「(その時間軸のなかで最も)高(かった)値」「(その時間軸のなかで最も)安(かった)値」「(その時間軸のなかで)始(めについた)値」「(その時間軸のなかで)終(わりについた)値」を示しています。図形は、始値と終値が示す「実体」と高値(安値)が実体よりも高い(安い)価格を付けたときにできる「ヒゲ」で構成されます。

さらに「実体」は、各単位時間の間で終値が始値を上回った場合は「陽線」、下回った場合は「陰線」と呼び、それぞれ色分けされて表示されます(一般的には白=陽線、黒=陰線のようなパターンが多い)。

この陽線・陰線のパターン分けがあることによって、価格の変動傾向が視覚的にわかりやすくなるという点にローソク足のメリットがあります。

例えば、3本連続でヒゲのない長めの陽線が続いた場合、価格は上昇の傾向があることがわかります。陽線と陰線が交互に出ている場合は、価格がもみ合っていて方向性がないことがわかります。

また、陽線であっても高値方向のヒゲが長い、つまり高値と終値が大きく乖離している状態があります。この場合は、一旦の上昇の勢いは強かったものの、それ以上に売り圧力が強いため、高値から上昇が抑えられ、価格を下げているということがわかるのです。

特に上昇トレンドが発生しているときに、このような上ヒゲが長いローソク足ができるということは、「買う人が売る人よりも多い=上昇」から「買う人と売る人が同じくらい=均衡」となりトレンド終了と判断する人が増えます。そのため、レンジへの移行やトレンドの転換が起きるきっかけになるのです。

同じことが、下降トレンド途中で出る長い下ヒゲのローソク足にもいえます。

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組み合わせるとさらに効果が高い

1つひとつのローソク足の意味がわかってきたら、次は複数のローソク足を組合わせてみましょう。

チャートは連続した価格の推移によってつくられています。1本のローソク足が示す4つの値動きから多くのことが読み取れますが、それを複数組み合わせることでさらに強いサインとなる場合が多いからです。

複数のローソク足を組み合わせ、相場の展開を予測する技術は古くから培われてきました。

ローソク足の考案者とされる本間宗久は「酒田五法」と呼ばれる、ローソク足の形状から分析を行う手法も考案したとされています。

また、欧米ではこうした分析は「プライスアクション」として広く知られています。プライスアクションは、基本的にはバーチャートがベースです。ローソク足をベースとする酒田五法とアプローチや解釈の異なるものもありますが、酒田五法の「三尊(さんぞん)」とプライスアクションの「ヘッド&ショルダー」はほぼ同列に語られています。複数の足を使った分析のバリエーションと考えて問題ないでしょう。

こうしたチャートのパターンのなかから、相場で現れやすいものをいくつか紹介します。

●ダブルトップ

上昇トレンドの天井付近で出る、トレンド転換のパターン。急騰して高値を付けた後、一旦調整が入り価格が落ち着いた後、再度高値ブレイクをねらって上昇。しかし、一度目の上昇で利確し損ねた投資家の利益確定の売りや、それを見越した逆張り投資家の売りが入ることで、前回の高値付近まで上昇してからトレンド転換し下げ始める動きになりやすい。

下降相場では反対に「ダブルボトム」となる。

●三尊天井(ヘッド&ショルダー)

相場の天井で現れやすいパターン。3つの高値からなり、ひとつ目の高値を2番目の高値が超えるがそのあとの上昇が伸びず、3番目の高値が2番目の高値を超えられない場合に下落トレンドに移行しやすい。

下落トレンドの底では三尊の反対の動きが起きると「逆三尊」となる。

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パターンは「絶対」ではない

ローソク足を複数の視点で見るメリットは、連続して価格が推移していくなかで、トレンドが転換や加速しやすいポイントを広い視点で見られるようになる、という点です。パターンとして覚えておけば、それに近い動きになったときに「次の動きで高値が超えられなかったら三尊天井ができそうだから、利益を確定しておこう」というように、連続した動きのなかで次の戦略を想定することができます。

ただ、値動きのパターンは数多くあります。思い当たるパターンを無理やり当てはめることも可能ですが、やみくもに当てはめてもパターンどおりの値動きになるとは限りません。

1時間足でダブルボトムができて、買いと判断しても、日足でみればわずかに下ヒゲができただけで、むしろ「下降トレンド継続=売り」と判断する人もいる可能性もあります。つまり、時間軸を変更すると全く反対の分析を行っている人がいる、という可能性も含めて、複数の時間軸を確認しながら分析することが重要なのです。

ダウ理論を使ってトレンドの有無を判断する

そうした意味では「今トレンドが発生しているか」を判断することは、パターン分析をより正確にするためにとても重要になってきます。

また、トレンドが出ている方向に乗って取引する「順張り」の投資スタイルでは、パターン分析が正確であればあるほど利益が伸びます。総合的に投資成績を上げるためにも、正確なトレンド判断が必要なのです。

では、いったい「トレンドかどうか」を判断する基準はどこにあるのでしょうか。

それを定義付けたのが「ダウ理論」です。

ダウ理論は100年以上前にアメリカで活躍した金融ジャーナリスト、チャールズ・ダウ氏が提唱した理論をもとにまとめられた6つの法則のことで、トレンドに関する定義はそのひとつです。

法則を端的に説明すると、上昇トレンドと定義されるのは「高値が切り上がり、安値が切り上がっている状態」、下降トレンドは「安値が切り下がり、高値も切り下がっている状態」です。

非常にシンプルな考え方ですが、ダウ理論は100年以上相場で機能しており、相場参加者の多くがこの考え方を理解したうえで投資を行っています。

相場には「明確な答え」というものがありません。だからこそ、長く意識され機能してきたダウ理論の考え方を多くの参加者が取り入れます。そうすると、「ダウ理論で上昇トレンドはまだ続いている=買いだ」と判断され、値動きもそれに準じて動くというサイクルができ上がるのです。

さらに言えば、相場参加者の多くがダウ理論を意識しているということは、それに逆らう売買が自然と「少数派」の取引になるということです。

値動きが上か下どちらかに一方的に動くとき、市場参加者のポジションの偏りは連動しています。したがって、上昇トレンドにあるときには相場参加者の多くが「買いだ」と思っているということです。

買いだと思っている人にとって、一旦価格が下がる状況は絶好の「買い場」となります。

この状況で、「ダウ理論では上だけど、パターンで見ると下がりそうだから売り」と判断し取引したとしましょう。しかし、そのポジションは多数派の買いによる価格上昇で損切りされてしまう可能性が高くなるのです。

前述のパターン分析でも、「ここはダブルトップだ」と判断する人が多ければ多いほど機能します。そうした点からも、相場の多数派の考え方を知ることが必要で、ダウ理論はチャート分析において最も押さえておきたい考え方といえます。

いくつかの分析を複合的に組み合わせる

最後に「トレンドの終わり」を判断するために、ダウ理論の補助として取り入れたい「トレンドライン」を紹介します。

ダウ理論の上昇トレンドの定義が、「高値が切り上がり、安値も切り上がる」のであれば、チャートに現れる複数のローソク足の動きは、右斜め上に向けて安値が切り上がって上昇しているはずです。多くの上昇トレンドではその安値をつないで、右斜め上に向けて線が引けますが、この線が「トレンドライン」です。

「トレンドラインを下抜けたら売り」のように、実際の取引のサインとして使われることも多いです。ダウ理論と併せるという考え方であれば、「高値は切り上げたが、安値は切り下げた」というような状況ではトレンドラインをローソク足が下抜け始めます。こうなると、再び上昇トレンドに戻るには時間がかかる場合が多いので、ポジションを持っている場合は絶好の利確タイミングとなります。

このように、ダウ理論を基本として補助的に線を引いたり、ローソク足を複数の塊でみて、パターンを判断します。こうした工夫を施すことで、ひとつの視点だけでなく複合的にチャートを見ることにつながり、分析の精度が上がるでしょう。

チャート分析は情報の格差がなく、誰でも身につけられる

ひとえに「暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)投資」といっても、「最新情報をいち早く手に入れて、価格が上がりそうな通貨を探す」「性質の異なる複数の通貨でポートフォリオを組む」など、いろいろな方法があるでしょう。それらに投資する際の選択肢としてチャート分析があります。

チャートは誰でも入手可能なため、「情報の格差がない」という点が一番のメリットといえます。一度分析する技術を身に付ければ、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)だけでなく、ほかの投資商品にも活用できるため選択肢が広がり、運用パフォーマンス向上につながるでしょう。

まずはダウ理論だけでも学んでみてはいかがでしょうか。