仮想通貨法(改正資金決済法)とは?法案の内容や取引への影響を解説

暗号通貨を知る

暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の定義は、201741日に施行された改正資金決済法のなかで初めて盛り込まれました。これが、一般的に仮想通貨法と呼ばれている法律です。仮想通貨法(改正資金決済法)では、ビットコインやアルトコイン、仮想通貨取引所に関する定義が明文化されています。また、この法律により仮想通貨取引所は「仮想通貨交換業」としての登録が義務づけられることになりました。暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関する法案は、関係者にどのような影響を与えたのか、くわしく解説します。


2017年に施行された仮想通貨法(改正資金決済法)とは?

暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の取引量が急増した2017年、仮想通貨を規制する法律が施行されました。ここでは、仮想通貨法(改正資金決済法)の概要や規定などを解説します。

仮想通貨法(改正資金決済法)の概要

201741日に施行された「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」において、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関する法律規制が導入されました。暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)は特定の管理者が存在しないことが特徴です。しかし、犯罪目的の使用や資金の流用を防ぐためには、一定のルールが必要となります。仮想通貨法(改正資金決済法)では、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の定義や取引に関する規制が定められました。仮想通貨法(改正資金決済法)では、「1号仮想通貨」「2号仮想通貨」の名称でそれぞれの内容を定めています。

1号仮想通貨は、モノやサービスの決済手段として利用できるデジタルデータの通貨と定義されました。2号仮想通貨は、1号仮想通貨と交換可能なデジタルデータの通貨であること、電子的取引が可能であることが定義とされました。

ビットコインの定義

仮想通貨法(改正資金決済法)の定めによると、ビットコインは1号仮想通貨の要件を満たした仮想通貨です。また、ビットコインには財産的価値があること、取引の電子的記録が可能であることが明記されています。さらに、日本通貨や外国通貨とは異なり、法定通貨ではないことも明文化されました。この法律により、ビットコインは法定通貨ではないものの、通貨のような役割や価値があることが認められたのです。

アルトコインの定義

一方で、ビットコイン以外の暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)であるアルトコインは2号仮想通貨として、その定義が示されています。イーサリアムやリップル、ビットコインキャッシュなどのアルトコインはビットコインとの交換が可能なので、2号仮想通貨に該当します。

仮想通貨交換業の規定

仮想通貨法(改正資金決済法)では、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の取引に関する規制も定められました。暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の取引や交換を行うサービスを提供する業者には、仮想通貨交換業の登録制が導入されたのです。仮想通貨交換業とは、以下のいずれかに該当するものをいいます。

 仮想通貨の売買または交換

 仮想通貨の売買または交換の仲介、取り次ぎ、代理

 上記ふたつの事業に関する利用者の金銭または仮想通貨の管理

さらに、仮想通貨交換業者への登録には、さまざまな条件が必要となります。


仮想通貨法(改正資金決済法)における仮想通貨交換業者の規制

仮想通貨法(改正資金決済法)の施行により、仮想通貨交換業者はどのような規制を受けることになったのでしょうか。ここでは、規制内容をくわしく解説します。

財務規制

仮想通貨交換業者の登録にあたっては、財務規制が設けられています。登録の要件は、「資本金1,000万円以上で、純資産額がマイナスではないこと」です。要件を満たさない企業は、仮想通貨交換業としての登録を受けることができません。このような規制が設けられた背景には、企業の資金力不足による顧客資産の流用を防止するという狙いがあるとみられています。

行為規制

仮想通貨交換業は、利用者に対する情報の提供やリスクの説明、自社の財産と顧客財産の分別管理などを行う義務があります。行為規制は、顧客が安全にサービスを利用するために欠かせないルールといえるでしょう。この規制により、顧客はリスクを理解したうえで、安全に暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の取引をすることができます。

監督規制

仮想通貨交換業に対する監督規制のルールも設けられました。帳簿書類の作成や保存、報告書の提出が義務化されたのです。帳簿書類には、顧客との取引に関する詳細な取引記録や資金の収支、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の数量などが記録されます。また、仮想通貨交換業は立入検査や業務改善命令を受けることもあり、従わない場合は登録の取り消しや抹消も行われることになりました。

マネーロンダリング規制

マネーロンダリングとは、不正に得た資金を浄化する行為のことです。暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)がマネーロンダリングに利用されるのを防止するため、口座開設時の取引時確認、確認記録や取引記録等の作成・保存などが義務化されました。この規制により、顧客が口座を開設する際には、必ず本人確認をしなければなりません。また、取引記録は取引契約終了後から7年間保存されます。


仮想通貨法(改正資金決済法)によりどのような影響があるか

仮想通貨法(改正資金決済法)が施行されたことで、実際にどのような影響があるのでしょうか。ここでは、2020年の法律改正も含めて、規制による影響を解説します。

暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関する税金の扱い

仮想通貨法(改正資金決済法)の施行により、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関わる税金の扱いも変わりました。この法律により、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)は支払い手段と定義されたため、消費税が非課税となったのです。また、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)取引により得た利益は、雑所得に区分されることも明確化されました。ただし、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関する税金の規定は、今後も変わっていく可能性があります。

電子マネーとの区別

暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)と電子マネーは、デジタル決済ができるという点で共通しています。しかし、電子マネーは法定通貨を前払い方式でデジタル化し、特定の国や地域だけで利用できるものです。一方、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)は不特定の者に対して使用できるという定義が、仮想通貨法(改正資金決済法)において定められました。そのため、特定の範囲でしか使用できない電子マネーとは区別されます。

2020年の法律改正による影響

20193月、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関連する資金決済法および金融商品取引法の改正法案に関しての改正案が閣議決定され、20206月までに施行される見通しとなりました。法律改正による主な影響は次のとおりです。

 「仮想通貨」から「暗号資産」への名称変更

 セキュリティトークンの金融商品取引法適用

 レバレッジ取引やカストディ業務の規制

このように、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関する法規制は、今後も整備されていく見通しです。そのため、今後も法律改正の動向に注目する必要があります。


ICOについての注意喚起

ICOに関しては、これまで明確な法律規制がありませんでした。しかし、今後は法整備が進められる見込みです。ここでは、ICOについての注意喚起や法律規制の動きを解説します。

ICOに関する法律

20195月時点では、ICOを直接規制する法律はありません。しかし、金融庁からICOに関するガイドライン(内部指針)が発表されているため、企業がICOを行う際にはガイドラインに沿った対応が必要です。ガイドラインには、ICOで発行されるトークンを購入する際の注意点や、企業がICOを行う際の規制が盛り込まれています。

ICOに関するガイドライン「ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~」の内容

ICOに関するガイドラインには、主に以下の内容が記載されています。

 ICOとは、企業がトークンを発行し、資金調達を行う方法であること

 ICOのリスクとして、価格下落の可能性や詐欺の可能性があること

 ICOは、資金決済法や金融商品取引法の規制対象となる可能性があること

またガイドラインには、ICOで発行されるトークンは資金決済法の仮想通貨に該当すると記載されています。そのため、トークンの交換には仮想通貨交換業の登録が必要です。


今後のICOに関する法律規制

2019年に閣議決定された暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)に関連する資金決済法および金融商品取引法の改正法案に関しての改正案で、ICOが金融商品取引規制の対象となることが明文化される見通しです。この法律規制により、ICOは株式と同様に、利用者への情報開示やトークンの販売・勧誘規制などのルールが厳格化されるとみられます。今後は違法ICOが減少し、公正な取引が行われるようになるでしょう。

法律改正により投資家が安心して取引できる市場に

これまでの法案成立により、仮想通貨交換業者の規制が進み、投資家が安心して暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)を取引できる環境が整いつつあります。一方で、ICOについては、2020年に成立する見通しとなっている法案の施行を待たなければなりません。今後の法律改正により、ICOが金融商品取引規制の対象となり、取引ルールが厳格化される見通しです。将来的に法律整備が進めば、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)取引がより活発になることも期待されます。


参考:

 改正資金決済法施 -仮想通貨の的規制-|国民生活PDF)

 ICO(Initial Coin Offeringついて利用者及び事業者に対する注意喚起~ |金融庁PDF)

 金融庁にICOの5つの法律規制と今後の動向とは?弁護士が解説|TOP COURT

 徹底解2019年の仮想通貨(暗号資産)とICOの法律改正の4つのポイント|グローウィル国際法律事務所