ブロックチェーン技術を推進するHyperledger(ハイパーレッジャー)とは?

暗号通貨を知る

ブロックチェーン技術は現在世界中の企業から注目されており、日本のみならず多くの企業がブロックチェーン技術を利用した新たなサービスの開発を進めています。イーサリアムのプラットフォームを活用するための企業団体も存在していますが、Hyperledgerはブロックチェーン技術推進派が所属するコミュニティーのひとつです。ここでは、Hyperledgerとは何か、その仕組みや利用方法についてご紹介します。

Hyperledger(ハイパーレッジャー)とは

Hyperledgerは、ブロックチェーン技術そのものやプラットフォーム、暗号通貨(仮想通貨)の名称などではありません。ブロックチェーン技術をあらゆる場面で利用するために生まれたコミュニティーの名前です。このコミュニティーには世界から多くの企業が参加しており、なかには世界に名だたる大企業もあります。
米IBMやIntel、日本からは富士通や日立といった大企業が参加しており、その他ブロックチェーンと相性のよい金融機関や信託会社も名を連ねています。多くの企業や金融機関が参加するコミュニティーはなぜ生まれたのでしょうか。まずはその目的について見ていきましょう。

目的

これまで、ブロックチェーン技術はビットコインを筆頭として暗号通貨(仮想通貨)の取引を中心として発展してきました。しかし、ブロックチェーン技術には暗号通貨(仮想通貨)の取引だけにはとどまらないさまざまな可能性が秘められています。
一般的に、高セキュリティーで高性能なシステムを開発するためには莫大(ばくだい)な資金が必要です。大手企業や金融機関が新規のシステムを構築しようとしたとき、その成功率の大小にかかわらず資金的リスクはがあります。システムの設計、開発、試験が独自に必要となり、それぞれに大きく費用がかかってしまうこともあります。
ところが、ブロックチェーン技術であれば、コンピューター群を連携させるだけで安全かつ高性能なシステムを構築できます。より安価で簡潔に新システムを構築・活用できる可能性が高いというわけです。新技術の開発や運用のリスクが小さくなれば、新たな事業に着手できるかもしれません。
例えば、これまで当たり前になっていた中央機関が行う送金をビットコインが代替できるようになったことと同じく、契約締結に仲介が必要なくなる可能性もあります。
Hyperledgerでは、こういったブロックチェーンの可能性を探り、システムを実現することを目的としています。現行のシステムをより安く構築すること、それをどうやって実現するのか、より早く実現することはできないのか。世界の企業や技術者がHyperledgerに集まって、日々研究と実証実験がなされています。

オープンな開発

Hyperledgerの特徴には、「開発がオープンである」ことが挙げられます。このコミュニティーで得られた成果を順次公開していくことでブロックチェーン技術の推進を図っているのです。また、公開することでさらなる新しい技術の開発や開発者の育成も目指しています。

プロジェクトおよびツール

ここからは、Hyperledgerで開発されたツールや進められているプロジェクトについてご紹介します。

主なツール

まずは主なツールからみていきましょう。

  • 「Hyperledger Cello」

独自のブロックチェーンを作ったり、管理したりするためのツールで作業効率を上げるために使われます。開発にはIntelやHuawei、IBMが携わっています。

  • 「Hyperledger Composer」

より簡単にブロックチェーンを構築できるこのツールでは、ブロックチェーンでビジネスネットワークも作れます。

  • 「Hyperledger Explorer」

ブロックチェーンネットワーク上の関連情報を見ることができるツールです。これを利用することで取引データやネットワーク情報などを参照できます。

  • 「Hyperledger Quilt」

支払いプロトコルであるこのツールはNTTデータが開発に携わっています。

いずれも専門知識がないと、専門用語が並び難しく感じます。簡単にいうと、各自がブロックチェーンを開発したり利用したりするのをより簡易にしてくれるツールと言い換えることができます。

プロジェクト

こちらはHyperledgerで進められたプロジェクトです。

  • 「Hyperledger Iroha」

IDやシリアル化されたデータを管理するときに利用できるブロックチェーンシステムです。主に決済システムや本人確認で利用できます。利用する開発者に分かりやすいよう、シンプルに設計されており、AndroidやiOSのアプリ開発も容易なのが特徴です。

  • 「Hyperledger Fabric」

特定の相手とブロックチェーンを利用できるシステムです。プライベートなブロックチェーンを構築してビジネスに利用できます。

こういったプロジェクトでは、実際にブロックチェーン技術を活用することを目的としています。Hyperledgerではアプリの開発やビジネスでの応用など、ブロックチェーン技術を多用な分野で実用する試みがすでに始まっているのです。

Hyperledger(ハイパーレッジャー)は今後どのように活用されていくのか

多くの人は、難しいシステムで構築された技術を日々何気なく使っています。ブロックチェーンという新しい技術も、「理解はできないけれど日常で使われている」、そんな当たり前のシステムになる日が近いのかもしれません。ここからは、Hyperledgerが今後どのように活用されていくのか考えていきましょう。

サプライチェーン分野

原材料や部品の調達から製造、販売、在庫管理や配送といった一連の情報をブロックチェーンで管理できるようになるでしょう。これまでサプライチェーンを管理するシステムには多額のコストや人件費がかかっていました。しかし、Hyperledgerが進める開発によってより安価で確実な管理が可能になるかもしれません。

ヘルスケア分野

現行では、カルテは各医療機関が保管・管理しており、医療機関をまたいでデータをやりとりするのは大変なことですが、ユーザーファーストの視点に立ったとき、あらゆる治療歴や診察歴が一括で管理された方がよいことも多々あります。例えば投薬の状況が瞬時に分かったり、過去の治療歴から現在の病気が発見されたりといったこともあるでしょう。開発が進みカルテをブロックチェーンで共有することが当たり前になれば、患者にとってよりよい治療が期待できます。

さまざまな契約

スマートコントラクトを利用して不動産契約を行う企業もすでにあります。これまで仲介者が必要だった保険や不動産といったものの契約も、ブロックチェーンで素早く締結できるようになるでしょう。

政府機関等

今、新興国はブロックチェーンを使って独自の通貨を生み出す動きを見せています。特に、米国からの経済制裁回避を目的として利用を視野に入れているイランでは、独自の暗号通貨(仮想通貨)を作るためにHyperledgerを利用しているそうです。この暗号通貨(仮想通貨)はマイニングができません。また、通常のものと異なり政府機関が管理するのが特徴です。
ブロックチェーンは非中央集権型のシステムとして誕生していますが、こういった国主導の中央集権型暗号通貨(仮想通貨)はベネズエラでも発行されています。新興国とブロックチェーンは相性がいいとされ、今後の動向に世界からの注目が集まっています。

世界の名だたるIT企業が参加するコミュニティー

Hyperledgerは暗号通貨(仮想通貨)やブロックチェーンのプラットフォームではなく、ブロックチェーン技術のあらゆる分野での活用を推進するコミュニティーであることが分かりました。これまではフィンテック分野での利用が注目されてきましたが、今後はサプライチェーン分野での活用やヘルスケア分野での活用も検討されています。ブロックチェーン技術は今後、暗号通貨(仮想通貨)だけでなく、さまざまなビジネスで利用されていくことでしょう。

 

参考: