チャート分析をさらにレベルアップできる「テクニカル指標」を使いこなそう!

投資を知る

暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)を取引する際、チャートを分析して売買のタイミングを測ることは非常に重要です。もっとも基本的なチャート分析は値動きそのもの、つまりローソク足のパターンを見ますが、より値動きの方向性や勢いがわかり、分析の手助けとなるのが「テクニカル指標」です。テクニカル指標とはそもそもどんなものなのか、ということから具体的な相場の分析方法まで解説します。

まずは自分の相場に対するスタンスを決めておく

テクニカル指標を使ってチャート分析を行う前に、まず「自分がどのスタンスで価格の推移を見ていくのか」をはっきりさせておく必要があります。

ここでいうスタンスとは、大きく分けて「順張り」と「逆張り」のふたつです。

どちらも相場に対して、どのようなスタンスで資金を投入するのかという考え方を示しています。

順張りは、相場の方向性(トレンド)と同じ方向に資金を投入(エントリー)する考え方です。

ごく簡単にいうと、相場の動きは大きく分けて「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ(もしくはボックス)」でできています。

順張りは、上昇または下降トレンドが出ているタイミングで、トレンド方向にエントリーすることです。現物取引を行う場合は上昇トレンドのみですが、証拠金取引であるFXや先物取引では下降トレンドでもエントリーすることができます。

 

トレンドは一度発生すると、急激に反転して反対方向に切り替わることは少ないです。そのため、トレンド発生の初動でエントリーできれば、売買回数が少なくても大きく利益を出すことができるのが順張りのメリットです。また、多少高値づかみすることがあっても、トレンドが発生している限りはその高値を超える値動きになります。エントリーポイントの精度が良くない場合も、トレンドがカバーしてくれる点もメリットといえるでしょう。

 

一方、逆張りは、トレンドの反対方向にエントリーする方法です。

逆張りを行うタイミングはさまざまです。例えば、相場が何かの出来事をきっかけに急騰・急落した際に、それまでの価格水準からみて「行き過ぎ」と判断して、リバウンドをねらって逆方向にエントリーします。また、10,000円といった「キリのよい価格」に達した際に、反対方向にエントリーする方法もあります。

特に暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)取引では、ほかの資産との性質の違いから、短期間で急激な動きが出やすく、その後のリバウンドも大きくなります。そのため、逆張りのチャンスは比較的多くあり、ボックス相場のように動きがないときでも、取引機会を増やすことができるのがメリットです。

ただし、エントリーのタイミングや損切りの基準を明確にしておかなければなりません。想定よりも値動きが大きくなった際に、損失を広げてしまう可能性も大きいため、順張りよりもエントリーに精度が求められるのです。

 

どちらのスタンスを採用するにしても、価格の推移をどのように見ていくかの基準として定めることによって、取引するタイミングを明確にするという点が重要です。

B_ロング_チャート分析をさらにレベルアップできる「テクニカル指標」を使いこなそう!_10404017058.jpg

スタイルを決めたら、チャートにもとづいて戦略を練る

ここからは具体的な相場の見方を説明します。
順張り、逆張りのどちらにおいても、基本的には「トレンドができているか、そうでないか」を分析することが非常に重要です。
もっとも基本的な考え方として、ローソク足だけでもダウ理論のトレンドの定義にあてはまれば、トレンドの有無がわかります。また、ダブルトップやヘッド&ショルダーなどが確定していれば、トレンドの反転を知るサインになります。
しかし、分析の精度をさらに高めるのであれば、テクニカル指標と呼ばれるツールを使うのも有効です。

テクニカル指標とは、過去の価格推移やデータを分析し、数値や図形などでチャート上に表示させることができる指標のことで、さまざまな種類があります。
市場参加者であれば誰でも知っているものから、マイナーなものまでいろいろな指標が存在します。その多くは取引所の提供するツールに実装されており、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)を売買できる環境を整えていれば、ほとんどの人が利用可能です。

基本的なテクニカル指標と、それぞれの使い方を把握する

      移動平均線
数あるテクニカル指標のなかでも、もっとも有名で基本的なのが「移動平均線」です。
移動平均線は、一定期間の価格を平均して、折れ線グラフでチャート上に表示されます。単純に一定期間の平均値を出す「単純移動平均線(SMA)」や、平均値を出す際の計算にアレンジを加えた「指数移動平均線(EMA)」など、種類はさまざまです。どの計算方法を使うにせよ、メリットである「トレンドを視覚化できる」という点は同じです。

相場は一定ではなく、市場参加者の売買によって常に変動しています。移動平均線はこの平均値を表示するものです。移動平均線が横ばいの状態が続いていれば、平均値より上で買っている市場参加者と、平均値より下で売っている市場参加者が均衡している状態、つまり「相場に動きがない状態」と判断できます。反対に移動平均線が上向いてくれば、過去の一定期間において、市場参加者が平均値より上で買っている(=相場に偏りが出ている)状態と判断でき、上昇トレンド発生の基準とすることができます。

また、市場には1日で売買を終えるデイトレーダーや、数週間~数ヶ月(ときには数年も)の期間で保有する長期のトレーダーなど、見ている時間軸が異なる参加者が混在しています。そのため、短い時間軸では上昇トレンドが出ているように見えても、長い時間軸では下降トレンドというようなケースはよくあります。デイトレードを行う場合も、長期のトレンドを確認する必要がありますが、短期と長期で複数の移動平均線を表示させる方法が効果的です。
ほとんどの取引ツールで「どの期間を基準にするか」という移動平均線のパラメータを変更できます。例えば25日線と75日線を2本同時にチャートに表示させ、短期トレーダーの動向は25日移動平均線、長期トレーダー動向は75日移動平均線で分析することも可能です。

      ボリンジャーバンド
移動平均線には50年以上の歴史があり、相場に普及して以来、さまざまな改良が行われてきまました。そのひとつとして生まれたのがボリンジャーバンドです。
ボリンジャーバンドは「バンド」という名のとおり、中心に移動平均線を表示させ、それに連動する形で上下に帯状のグラフを表示させるテクニカル指標です。
この帯は移動平均線で算出された平均値に、統計学の「標準偏差」を加えることで算出した値を表示させています。
難しく感じられるかもしれませんが、考え方はシンプルで「値動きが帯の内側に収まる確率」を示しています。
基本的に、ボリンジャーバンドは上下3本の帯で表示され、移動平均線よりも上にあるものは+1σ(シグマ)、+2σ、+3σ、下にあるものは−1σ、−2σ、−3σと呼ばれます。各帯に値動きが収まる確率は1σで約68%、2σで約95%、3σで約99%となっており、ほとんどの値動きは統計学的に見れば±3σの帯の内側に収まる、と考えることができます。
このボリンジャーバンドの特性をトレードに応用する場合、ふたつの方法があります。

1. バンドの抜けをねらった逆張り
相場で短期的な急騰、急落が起きると、2~3σを超えることがあります。
その際、通常の値動き(2σでいえば約99%の値動き)は帯の内側に収まるはずです。帯を突き抜ける値動きは一時的な現象で、しばらくすれば再び帯内に戻ってくると考えることができます。
したがって、値動きが帯に触れたタイミング、もしくは帯を抜けた後に再び帯の内側に収まるタイミングで反対方向にエントリーする、という方法です。

2. バンドの抜けた方向に順張り
日本国内のチャート解説では、上記の逆張りが一般的なボリンジャーバンドの活用方法として紹介されることが多いです。しかし、ボリンジャーバンドの開発者であるジョン・ボリンジャー氏自身はバンドを抜けた方向への順張りを推奨しています。
ボリンジャーバンドで描写される帯は、値動きがこう着するほどに上下の幅が狭まるという特性があります。これは相場に大きな材料がない場合や、反対に大きなイベントの前に市場参加者がトレードを手控えているようなタイミングで起こりやすい現象です。次のトレンド発生に向けてエネルギーをためている状態と考えることができます。帯が収縮した後、大きな値動きを伴って2~3σを突き抜けると、トレンドが発生することが多いため、この特性を利用して帯を抜けた方向に順張りしトレンドに乗るという方法です。
また、大きな値動きを伴うトレンドが発生すると、ボリンジャーバンドも上下に広がり、値動きが2~3σの間で推移する「バンドウォーク」という状態になることがあります。この状態ではトレンドが続きやすいため、バンドウォークの終了をトレンド終了として利確の目安としやすいのが特徴です。

      RSI、ストキャスティクス
移動平均線やボリンジャーバンドは、相場の方向性を描写し分析するテクニカル指標であるため、一般的に「トレンド系」と呼ばれています。
それらと区別されて、オシレーター(振り子)のように、値動きの激しさを上下幅の定められたグラフで示すのが「オシレーター系」と呼ばれるテクニカル指標です。
オシレーター系で代表的なのがRSIやストキャスティクスです。元となる計算式は異なりますが、基本的にはどちらも中心線より上にグラフが推移していれば買いの勢いが強く、下に推移していれば売りの勢いが強いことを示しています。
このことから、ボリンジャーバンドの逆張りの考え方と同様に、一般的には「買われすぎ」「売られすぎ」と判断して、反発をねらった逆張り手法を行う際の指標として説明されることが多いです。しかし実際の相場では、オシレーター系のテクニカル指標が買われすぎの水準に達していても、さらに上昇が続くケースも多く、安易に逆張り指標として使用するのは危険です。


例えばRSIを使用する場合の活用例を見てみましょう。価格の上昇が落ち着き反発しているようなタイミングで、RSIが中心線を下抜けずに推移しているとします。この場合、反発は上昇トレンドの過程で起きる一時的な調整と判断し、追加で買いエントリーします。また、上昇トレンドの初動からエントリーし、含み益がある状態だとします。この場合、RSIの70~80%の「買われすぎ」のエリアから外れたタイミングは、上昇が一旦調整する可能性が高くなるため、利確の基準とすることもできます。

また、オシレーター系のもうひとつの使い方として、値動きとの逆行現象(「ダイバージェンス」)を利用する方法もあります。
ローソク足単体で見ると日々高値を更新している状況は、上昇トレンドが継続していると判断し順張りでは「買い」を選択することになります。しかし実際は、市場参加者の買いの勢いが衰えている状況のことも多いのです。
その場合、値動きが右肩上がりになるのと裏腹に、オシレーター系の指標は右肩下がり(=ダイバージェンス)になることが多いです。ダイバージェンスに注目していれば、トレンド転換のタイミングを測ることができる可能性が高くなります。

C_ロング_チャート分析をさらにレベルアップできる「テクニカル指標」を使いこなそう!_10404017445.jpg

「盛り込みすぎ」はよくない

相場でよく知られるいくつかのテクニカル指標を例に、取引の基準として利用する方法を説明しました。テクニカル指標は、自分以外にチャートを分析してくれる「アドバイザー」のようなものです。チャートを分析する際に主観的な視点に加えて、違った角度から客観的な事実を伝えてくれます。
それぞれのテクニカル指標の特徴を把握し扱いに慣れてくれば、トレンド系の移動平均線とオシレーター系のRSIなど、考え方の異なるテクニカル指標を組み合わせてみるのも効果的です。

ただし、「テクニカル指標をチャートに盛り込みすぎてしまう」のも問題です。
相場には「確実なこと」や「正解」がありません。経験豊富なトレーダーでも「100%勝てる」わけではないのです。彼らは常に相場環境やチャートを複合的に分析し、自分の取引スタイルが優位な状況のときのみ、リスクをとって取引を行います。ところが、相場に慣れないトレーダーは、テクニカル指標が出すわかりやすい売買サイン(移動平均線のゴールデンクロス、ボリンジャーバンドの2σ抜けなど)のみに頼ってしまいがちです。そうすると、つい「もっとたくさんテクニカル指標を入れたほうが取引の精度が上がるのでは」と入られる限りのテクニカル指標を表示させたくなりますが、これはおすすめしません。

それぞれのテクニカル指標は基本的な計算式が異なり、サインが出るタイミングも違います。したがって、移動平均線を見ると明確に買いの状況でも、ストキャスティクスで見ると売りのサインが出ている、というような状況は相場において多々あるのです。そのため、慣れない状況で多くのテクニカル指標を表示させすぎると混乱し、いつ売買すべきかがわからなくなってしまいます。テクニカル指標を初めて使う場合は、最大2種類にとどめておくほうが分析しやすいでしょう。

「聖杯探し」はしない

また、盛り込みすぎとあわせて初心者がやってしまいがちな失敗が「聖杯探し」です。
「聖杯」とは相場における「絶対的な手法」という意味で、相場で勝てないトレーダーが延々とあるはずのない聖杯を探し続ける様子を揶揄(やゆ)して使われます。

前述のとおり、相場に「絶対」はありません。ここで紹介したテクニカル指標の使い方も、あくまで状況を分析し、ひとつのトレードにおける優位性を上げるためのものです。特定の条件を満たせば売買サインが必ず的中するというものではありません。経験豊富なトレーダーはこの点を理解しているため、あるテクニカル指標を実戦で使う前に、過去の相場と照らし合わせて検証します。その指標の優位性を確認できたら初めて、資金を投入したトレードで使用するのです。


一方で相場に慣れないトレーダーは、ひとつのテクニカル指標の示す売買サインのとおりにトレードを行い、利益が出なかったり損をすると、すぐに別のテクニカル指標を試すといった行動をしがちです。そうして試行回数も少ないまま、「あれもこれも」と複数の指標に手を出していくと、それぞれの指標の知識も深まらず、取引への基本的なスタンスも定まりません。

また、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の情報収集を行っていると、「絶対もうかる」「勝率100%」などとうたった情報商材や投資詐欺などの情報に出くわすことがあります。「あれもこれも試してみたけど、全部ダメだった……」という心境のトレーダーにとっては、こうした宣伝文句は非常に魅力的に映るのでしょう。つい手を出してしまい、相場で損するよりも大きな額を失ってしまうというケースもよくみられます。


くりかえしますが、「必ず勝てる」という指標や手法はありません(それが可能であれば、人に情報提供して利益を得る必要はないはずです)。チャート分析を行う場合には、必ず勝つ方法を考えるよりも、ひとつのテクニカル指標にもとづいた分析をあらゆる相場環境で行いましょう。少しでも利益を得られる可能性の高い状況を見極めることこそが重要です。