Pumpとは?Pump & Dumpの危険性やリスクの回避方法を解説

暗号通貨を知る

新しい通貨として世界中で利用されはじめた暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)ですが、詐欺の被害例も多く報告されています。安全に取引を行うためには、リスクに対する自己防衛が大切です。暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)取引を行う際に注意したい、PumpPump & Dumpについて解説します。


Pump(パンプ)およびDump(ダンプ)とは

Pump(パンプ)とは情報操作を行うことで、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の価格を適正価格以上に引き上げる行為を指します。例えば、恣意(しい)的に価格を上げたいコインがあったとき、そのコインのプロモーションを過度に行い投資家の目をひきつけます。情報に乗った投資家がこぞってそのコインを購入するため需要が高まり、コインの取引価格が上昇するのです。
こうして価格を上げた後、すぐにそのコインを売却すれば、適正以上の利益を得ることができます。こうした方法で利益を得ることをDump(ダンプ)といいます。つまり、Pumpは情報操作で、Dumpは価格が上昇したコインを売り抜くことです。


ただし、Pumpはひとりで行っても情報が拡散されず効果を上げにくいため、多くの場合は組織的に行われます。
暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)においては、こうした悪意のある情報操作がまかりとおりやすい傾向があります。暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)についてしっかりと理解して取引を行うユーザーがまだ少ないためです。
暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)について理解できていなければ、情報の真偽を確かめることも難しいでしょう。また、有名人やSNSで影響力のある人の言葉をつい信じてしまいがちです。偽の情報に操られないためにも、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)取引を行う際は、コインの成り立ちやブロックチェーンについてもよく調べておく必要があるのです。


偽の情報による相場の操作は、暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の世界だけで行われているわけではありません。Pumpは古くから行われています。これまでにも、世界中で株の相場が操られ、株価が暴落したこともありました。
証券取引では、虚偽の情報を広く伝えることは「風説の流布(ふうせつのるふ)」と呼ばれます。これを行った場合には、金融商品取引法により10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金に処されます。
仮想通貨では、時価総額が低くあまり知られていない安価なアルトコインで、Pumpが行われることが多いようです。暗号通貨(仮想通貨、暗号資産)の情報を集める際には、「このコインの価格が高くなる」というような情報があっても、安易に信用しないほうがよいでしょう。必ずその根拠を調べてください。特段の根拠が見つからない場合、それはPumpかもしれません。


PumpDump

Pumpが行われた後は、Dumpが行われます。PumpDumpはひと組で行われることから、PumpDumpと呼ばれます。


2018
年、ウォールストリートジャーナル紙が驚くべき記事を公開しました。
同紙の調査によると、半年間でPumpDumpが行われた回数は175回で、121種類ものコインで行われというのです。その取引総額は、およそ920億円(8.25億ドル)に上るといわれています。さらに、PumpDumpを行うような悪意を持つグループは、世界中に多く存在していると考えられ、同紙は、これらのグループに数百人から数千人が関わっている可能性もあると指摘しました。


Pump
Dumpを行うグループは、メッセージアプリで連絡を取り合い、価格を吊り上げる日程を決めているといいます。グループ内で取引の決行日、時間、取引所の情報を事前に共有し、同時に取引を行わせ、価格を吊り上げるのです。
相場を操縦するためにSNSが活用されることもあります。メッセージアプリやSNSから情報を得る際には、PumpDumpの可能性もあることを念頭に入れておきましょう。


米商品先物取引委員会(CFTC)も注意喚起

PumpDumpについては、米商品先物取引委員会も注意喚起を行っています。さらに、このような悪意のあるグループが行う詐欺が、インターネット上に蔓延(まんえん)していることを知ってほしいと声明を発表しました。経験豊富な投資家でさえ、PumpDumpにだまされてしまうことがあるといいます。

米商品先物取引委員会は、PumpDumpを行うトレーダー集団が行ったメッセージのやりとりも公開しました。そこには、トレーダー集団がSNSを活用していることがよくわかるメッセージが記載されていました。


前述のとおり、株取引でのPumpDumpは違法です。ところが、暗号通貨(仮想通貨・暗号資産)でこれを行っても罪に問われません。暗号通貨(仮想通貨・暗号資産)での規制が進んでいないためです。


Pump&Dump
が違法でない限り、暗号通貨(仮想通貨・暗号資産)の取引を行う人は、自分の資産は自分で守るほかありません。
SNS
で暗号通貨(仮想通貨・暗号資産)に関わる情報を集める人も多いでしょう。しかし、SNSにある情報の根拠を調べず、う呑みにしてしまうのは危険です。不正に吊り上げられたコインを購入してしまい、その直後に価格が暴落して資産を大きく減らしてしまった……ということがないようにしましょう。


PumpDumpから資産を守る方法は

PumpDumpから資産を守る方法について紹介します。暗号通貨(仮想通貨・暗号資産)の情報を集める際の参考にしてください。

SNSで得た情報をもとに購入しない

SNSには、真偽のわからない情報があふれています。なかには本当の情報もあるかもしれませんが、繰りかえし同じ内容の情報が発信されているからといって、安易に情報を信用しないようにしましょう。情報がほしいときには、各国の政府が発した情報や、コインの開発元・運営元が発表した情報を探すことをおすすめします。

ウェブサイト・ブログの情報にも注意

このコインは必ず利益が出ます、今後必ず価格が上昇します、というような情報を掲載しているウェブサイトやブログも氾濫しています。何かのコインだけを持ち上げるようなウェブサイトの情報は、公正な情報を発信しているとは考えにくいものです。
運営元がはっきりしないウェブサイト、ブログなどの情報も避けるようにしてください。

PumpDumpには参加しない

トレーダー集団に加わり、PumpDumpに参加しないことも大切です。気がつけばトレーダー集団に加わっていたということがないよう、メッセージアプリのグループや、SNSのグループに安易に参加しないようにしましょう。

リスクのない投資はない

どんな投資でも、元本が保証されることはほとんどありません。必ず利益が出る、お金を失うことはないと断言するような情報は信用できません。リスクのない投資はありえません。
米商品先物取引委員会も、これらの点に注意し取引を行うようにと警告しています。詐欺の手口に乗らない人が増えていくことで、PumpDumpを行うトレーダー集団の利益が減ります。利益が減れば、詐欺を行う理由もなくなるため、PumpDumpは沈静化するかもしれません。
Pump
Dumpが減ることで、いずれのコインも適正価格に近づくと考えられます。不正に価格が吊り上げられているコインや、暴落しているコインがなくなることで、多くの人が安心して取引を行えるようになるでしょう。


ネット上の情報に注意

PumpDumpは主にSNSやサイトを通じて行われます。SNSで突然人気の高まったコインは、もしかするとPumpによってつくり上げられたものかもしれません。相場を操作するのは正しい行為ではありませんが、今のところ規制がなく、法の外で行われている点に注意しましょう。自分の資産を守るのは自分自身です。単一の情報源だけを妄信するのではなく、さまざまな角度から情報を精査することが大切です。

 


参考:

 仮想通貨市場「パンプ&ダンプ」スキームの被害額が918億円に上る|BTCN

 仮想通貨の仕手グループ、相場操縦行為で約920億円を荒稼ぎか|ウォールストリートジャーナル|COINPOST

 仮想通貨の吊り上げと売り叩き「パンプ アンド ダンプ」はこうして行われる|COINTELEGRAPH

 Pump(パンプ)とは|仮想通貨用語辞典